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44.大阪市計量検査所
室内の計量検査器具類の展示室

昭和初期の洋館を生かして度量衡の伝統を堅持する

 中央大通を西行すると木津川にさしかかるすぐ手前の立売堀六丁目(旧江之子島東之町)に、ひっそりと建っている昭和初期の二階建の洋館がある。今は大阪市計量検査所であるが、もとをただすと越前国河野浦で江戸時代初期から北前船の大船主として名高い右近権左衛門家が、一方の根拠地大阪に設立した海運会社右近商事の華麗な本社ビルであった。
計量検査所の歴史を物語る全貌

 昭和五年に大林組が設計施工した鉄筋コンクリート造りの建物は決して規模の大きなものではないが内部の装飾は実に見事で現在でもその片鱗を建物に秘めている。翌六年に同じ町内に完成した広海海運ビルと双璧をなし、江之子島では、海運業者が軒を連ねるほどの盛況を示した時期であった。
  そのビルが、昭和三十一年に右近商事から市に譲渡され、市の計量検査所に転用された。昭和二十七年三月施工の新計量法、同三十四年に度量法がメートル法に統一された時には、市中の計量器の直接の取締と検査にあたり、大いに貢献した。
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